Smiley face
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自らの遺影撮影に臨む塚本由美子さん(右)=川崎市
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 自然な笑顔で、その人らしく――。黒い額縁に真顔が当たり前だった遺影が「カジュアル化」している。葬儀のあり方が変わり、遺影用の写真を生前に撮影する「生前遺影」の動きも広がってきた。「自分の遺影が適当に選ばれてしまうのでは」という危機感も背景にあるようだ。

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 2月、川崎市の写真スタジオ。フォトグラファーからそう声をかけられた塚本由美子さん(66)は、つい顔をほころばせた。すかさずシャッターが切られる。自然な笑顔で写真におさまった。

 撮影していたのは、自らの遺影用の写真だ。娘にすすめられ、生前遺影を手がけるフォトグラファーの鈴木由美さん(39)に依頼した。

遺影でも「こんなきれいな写真なら…」

 塚本さんの親世代の遺影といえば、着物姿で正面を向き、「スン」と口をつぐんだ写真が一般的だった。しかし、親族の遺影が穏やかな笑顔だったのを見て、「こんなきれいな写真なら私もやってみたい」と心を動かされた。

 義父が亡くなった時、写真探しに苦労した経験もあり、「いずれ必要になるなら、残される家族のためにも準備しておこう」と考えたという。親族の遺影を撮った鈴木さんに撮影を依頼。メイク込みで2万3800円だった。

 鈴木さんが遺影の撮影を始めたのは昨年7月。きっかけは自身の後悔だった。

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